建て替えのため今秋でいったん閉場する国立劇場で〔2022年〕12月11、12日、劇場の魅力を記憶にとどめてもらおうと、歌舞伎を上演する大劇場の舞台裏などを公開する「オープンシアター」が行われ、2日間で1000人を超える来場者がステージツアーや講演会などのイベントに参加した。
ステージツアーは、花道を歩いて本舞台に上がり、直径約20メートルの「廻り舞台」の回転を体感し、義太夫節を演奏する上手の「床」や長唄を演奏する下手の「黒御簾」を見学。「定式幕」の開閉や、ひもを引いて舞台上部につるした籠を揺らし、小さく切った白い紙を散らして降雪シーンを演出する仕掛けの説明を受けた。老松が描かれた「松羽目」の前では、思い思いのポーズで記念撮影を行っていた。
在日24年の語学教員で、月1回は観劇するという歌舞伎ファンのドイツ人女性は「何度も足を運んでいるが、舞台裏を見たのは初めて。向こう側がどうなっているか分かったので、次の観劇が楽しみ」と話していた。
(2023年1月8日付 読売新聞朝刊より)
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