「近代日本経済の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一の功績をたたえる新作能「
渋沢が晩年を過ごした飛鳥山では、2003年から秋に
大政奉還後、静岡で「商法会所」を設立して成功した篤太郎は、新政府に出仕する命を受け、東京に戻る。飛鳥山での宴席で眠り込んだ篤太郎は、夢で悪鬼と会い、孔子の教えを盾に
台本を担当した中村雅之さん=同右=は、室町時代に成立した能の主人公に、明治の人物を据えるのは難しかったと明かす一方、「長い人生の中で、青春期から壮年期にわたる、日本の新たな時代の幕開けを舞台にした」と振り返る。渋沢の出身地である埼玉県深谷市をはじめ、静岡や飛鳥山といったゆかりの地を物語に織り込んだ。
シテを勤める三郎太さんは「能の範囲から離れないようにしながら、わかりやすい設定をちりばめた」と話した。
(2025年8月3日付 読売新聞朝刊より)
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