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2023.7.3

現在の国立劇場では最後の「歌舞伎鑑賞教室」

現在の国立劇場(東京・半蔵門)では最後となる「歌舞伎鑑賞教室」が〔2023年7月〕3~24日に行われる。開場の翌年1967年から続けてきた初心者向け公演は、いったんフィナーレを迎える。

(右から)中村芝翫さん、中村錦之助さん、市川高麗蔵さん

双蝶々曲輪日記ふたつちょうちょうくるわにっき 引窓」は月明かりを入れる天井の「引窓」が重要な役割を果たす物語。役人に取り立てられたなん与兵衛(中村芝翫)の初仕事は殺しの罪で逃走中の相撲取り、濡髪長五郎(中村錦之助)を捕らえること。だが、濡髪は与兵衛の義母の実の子で、義理と人情の板挟みになった与兵衛は真夜中に引窓を開けて、ある決断をする。

与兵衛役を18年ぶりに演じる中村芝翫さんは「大変に芝居らしい、いいお芝居です。錦之助さん、高麗蔵こまぞうさんの先輩2人とお相手させていただき、また新しい発見ができるのでは」と抱負を語る。錦之助さんは「(相撲取りの役は)私の本来の役どころではないのですが、これも錦之助の役どころと思っていただけるよう一生懸命に勤めたい」。

与兵衛の女房お早を演じる市川高麗蔵さんは「子供の頃からたくさんの思い出が詰まった劇場。(鑑賞教室は)歌舞伎に初めて出合う場なので、誠心誠意勤めたい」と意気込みを語った。解説は沢村宗之助さんが務める。(電)0570・07・9900。

(2023年7月2日付 読売新聞朝刊より)

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