
古典の演目の中には、大作ゆえに、上演頻度が低いものもある。今月〔2026年1月〕、大阪・国立文楽劇場で上演されている「新薄雪物語」も、その一つだろう。太夫、三味線、人形遣いの各パートにスターがそろう「大顔合わせ」でなければ、上演がかなわない。今回、実に28年ぶりの上演となった。
幕開きは桜満開の京都・清水寺。若い男女、
天下調伏の疑いをかけられ、詮議のため互いの家に預けられた薄雪姫と左衛門。左衛門の父・園部兵衛の館に、薄雪姫の父・
父親同士が傷口を着物で隠したまま対面する「
人形遣いは、お梅の方に吉田和生、伊賀守に桐竹勘十郎、兵衛に吉田玉男と、人間国宝3人が初役に挑み、いぶし銀の芸を見せる。
伝統芸能の保存・継承は東京・国立劇場や国立文楽劇場が担う大きな使命である。30年近くも上演が途絶えれば、演者や裏方の世代交代が進み、演出や道具類に関しても集団の記憶が薄れてしまう。記録映像では伝わらない生の実感を後進に伝え残すためにも、埋もれた演目の再演は欠かせない。(編集委員 坂成美保)
初春文楽公演 27日まで、国立文楽劇場。第1部は「
寿式三番叟 」「摂州合邦辻」。第2部は「新薄雪物語」。第3部は「壺坂 観音霊験記」「連獅子」。(電)0570・07・9900。
(2026年1月8日付 読売新聞夕刊より)


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