
寺院の扉の奥に安置され、普段は拝観できない仏像があります。それが「秘仏」です。一口に秘仏と言っても、時期を定めて開帳(公開)する仏像、不定期に開帳するもの、見た人がいない絶対秘仏など様々です。長い年月を経て残されてきた秘仏には、文化財を未来へ伝えるヒントが隠されているように思えます。その魅力と秘密に迫ります。
西国三十三所観音霊場は和歌山、大阪、奈良、京都、滋賀、兵庫、岐阜と7府県にまたがる巡礼路。それらの寺院にある観音像には秘仏が多い。
奈良市の興福寺(法相宗大本山)の重要文化財・南円堂は西国三十三所の第九番札所として日々多くの参拝者を集める。813年の創建から再建を繰り返し、1789年に完成した現在の建物は5代目。堂内には本尊の国宝「
像は鎌倉時代に約1年3か月を費やして造られた。3メートルを超えるヒノキ材の寄せ木造りで、髪を高く結い、眉間に一つ加えた三つの目と、8本の腕が特徴的だ。重量感のある体や威厳のある顔に、奈良時代から平安時代初期の彫刻の伝統がうかがわれる。仏師の康慶らの作。康慶は運慶の父親だ。
南円堂はかつて、寺の僧でも内陣で礼拝が許されない重要な位置づけの建物だった。1973年に大般若経転読会が再興されたのに伴い、年1回の特別開帳が始まった。像の保存状態は良好だという。開帳日には南円堂の前に長い列ができる。
京都市東山区の六波羅蜜寺(真言宗智山派)は、西国三十三所の第十七番札所。12年に1度の

川崎純性住職(71)によると、1000年の歳月を経てもなお、きれいな状態を保つ。直近では2024年11月3日~12月5日に公開され、多くの人が訪れた。「参拝者が途切れることなく、信仰に根づく寺だと改めて感じた」と川崎住職。普段、開帳していない時でも秘仏を思い描いてもらおうと、本堂脇の屋外にほぼ同じ大きさの像を設置している。

(2026年6月7日付 読売新聞朝刊より)
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