三重塔は三重の屋根を持つ、細長く、高く組み立てられた仏教建築である。その美しい姿が今日まで伝わったのは、先人たちが屋根の
葺 き替えや解体修理を繰り返してきたおかげだ。本瓦葺き屋根の全面葺き替え工事を完了したばかりの愛媛・石手寺 三重塔をはじめ、国内で唯一という八角形の屋根を持つ長野・安楽寺、内部の極彩色の仏画や文様が鮮やかに残る滋賀・西明寺など、地域の宝になっている特色のある三重塔を選んで紹介する。

法起寺は、法隆寺、四天王寺、中宮寺などとともに聖徳太子が建立した7か寺のうちの一つと伝わる。塔は685年(天武14年)に起工、706年(慶雲3年)に相輪を上げたとされる現存最古の三重塔。
本瓦葺き屋根で、法隆寺五重塔とほぼ同じ飛鳥時代の建築様式を持つ。古代の塔とあって、心柱は地上に据えられた礎石上に立つ。
塔は一般に上層にいくほど建物の平面が減少する。法起寺の場合、平面の寸法は法隆寺五重塔の初重、三重、五重の平面とおおむね一致する。三重の一辺が初重の半分になるなど減少の割合が大きいため、どっしりと安定した姿を見せる。
直近の解体修理は1972~75年に行われた。

本瓦葺き屋根の東西両塔が境内に並び立つ。奈良時代には2基の塔を持つ寺院が数多く建てられたが、古い2基の塔が現存するのは当麻寺が唯一とされる。
塔は金堂の前方、左右に並ぶ。両塔の建立年代は東塔のほうがやや古く、奈良時代にさかのぼるとみられている。西塔は2016年から20年まで、約100年ぶりの本格修理工事が行われた。組物の様式・技法を再検討した結果、初重は平安前期、二・三重は平安後期と推定された。
両塔の建立年代に差があるため、意匠には違いが見られる。例えば東塔の初重には窓があるが、西塔には各重とも窓がない。
川中教正副住職(47)は「当麻寺奥院からは東西両塔が並び立つ様子がよく見える。背後には大和三山の

一乗寺は西国三十三所観音霊場第二十六番札所の
相輪の下方、「


檜皮葺き屋根が美しく、繊細で優美な姿を旅人が何度も振り返って眺めたことから、「見返りの塔」の名で親しまれる。
1920年(大正9年)の解体修理で軒下の組物から墨書年号が発見され、鎌倉末期の1333年(正慶2年)の建立と判明した。伝統的な建築様式である「和様」で造られている。
初重の内部には大日如来坐像を安置する。同坐像後方の来迎壁などには壁画が描かれたが、今ではほとんどが剥落し、文様がわずかに確認されている。

小山寺は筑波山を望む
伝統的な建築様式の「和様」を基調とし、初重の欄干など細部に「禅宗様」を取り入れる。1988年から3年にわたる解体修理で、それまで銅板葺きだった屋根を創建当初の
地元の理髪業、高松はるさん(81)は「子どもの頃から参拝しているが塔の中を拝観するのは初めて。塔は、私たちの守り神のような存在。これからもずっと地域を見守り続けてほしい」と語った。

(2026年2月1日付 読売新聞朝刊より)
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