2026年度の「紡ぐプロジェクト」修理助成事業は、宮城県から重要文化財「
瑞巌 寺本堂墨絵の間障壁画」(瑞巌寺蔵)、福岡県から同「不空羂索 観音立像」(観世音寺蔵)、高知県から同「大威徳明王 像ほか12件」(竹林寺蔵)が申請された。修理助成対象となった計7件はいずれも劣化が進み、絵画3件は本紙の亀裂や糊 の劣化、仏像3件は漆箔 層の浮き上がりや虫食いなどが見られる。貴重な文化財を後世に伝えるため、素材を調査し、最善の修理方法を検討したうえで、1年~数年の作業に着手する。

像高約86センチ。頭・体を通してヒノキの一材から彫り出す。穏やかで気品のある面相、適度な厚みがある肉付き、薄い衣の表現など平安時代後期の要素が顕著に認められる。
これらは仏師・
観光寺院としても著名な同地域の浄瑠璃寺や岩船寺の仏像に並び得る優美な作風で高く評価されるが、観光寺院ではないため、修理費用の捻出が長年の課題となってきた。1973~74年に解体修理を行ったものの、その後の経年劣化もあって、本体の各所で表面の漆箔の浮き上がりなどが見つかっている。台座の一部にはずれが生じ、接ぎ目が緩んでいる可能性もある。放置すれば、これらの箇所が今以上に拡大する恐れがある。早急な修理が望まれる状態だ。 修理は表面の塵や埃の除去、浮き上がりには膠や樹脂を用いた剥落止めを行うほか、台座の接ぎ目のずれ、緩み、隙間などは安定した位置におさまるように調整する。2か年計画で、2028年3月の完了を予定している。
(2026年1月11日付 読売新聞朝刊より)
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