重要無形文化財保持者(人間国宝)ら工芸作家の器で食事が楽しめる「
工藝ダイニングは政府の文化プロジェクト「日本博」の一環として2019年度に始まり、現在は「日本博2・0」の事業となっている。今回は工芸作家が創作について語る「卓話」を楽しみ、同館内のレストラン「和食 花の茶屋」で、地産地消・自然農法素材を生かした懐石料理の昼食を優美な伝統工芸の器で味わう。
内田篤呉館長は「食事を良い器で召し上がっていただくと味も雰囲気も全然違う。毎回料理に合った作家の器が増え、料理人の腕も上がっている」と説明する。
「卓話」は、15日が松原伸生さん(染色技法「長板中形」)、16日が藤塚松星さん(竹工芸)、17日が神農巌さん(青磁)、19日が須田賢司さん(木工芸)と人間国宝4人が担当。18日は春山文典さん(日本芸術院会員、金属造形作家)が話す。
須田賢司
そして、能楽堂を持つ同館ならではの楽しみが伝統芸能鑑賞だ。玉三郎さんは能楽堂公演を続けており、今年度は「お目見得 口上」と「隅田川」を上演する。「工藝ダイニング」の参加者は特別に用意された前列指定席で鑑賞できる。
さらに今回初めて、玉三郎さんの愛蔵の着物を展示披露する「
内田館長は「人間国宝の器で和食をいただいて、玉三郎さんの究極の日本舞踊の美にふれ、これぞ日本文化というものを楽しんでほしい」と話している。
「工藝ダイニング」の期間中、MOA美術館では、「琳派デザイン 宗達・光琳・抱一」(10月24日~12月14日)も開催されており、俵屋宗達や尾形光琳、「江戸琳派」を代表する酒井抱一といった琳派の画家たちの名品も鑑賞できる。
出品予定作品の一つで、光琳作と伝わる「秋草図
(2025年8月3日付 読売新聞朝刊より)
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