日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2019.12.19

【国宝 曜変天目】碗内に広がる小宇宙

国宝 曜変天目(「稲葉天目」) 建窯 南宋時代(12 〜13 世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

曜変ようへん」とは窯変の意味で、内面の黒釉こくゆう上に丸い斑紋がうかび、その周囲に、青から藍に輝く光彩があらわれたものをいう。中国・宋時代の建窯けんよう(福建省)で焼成された黒釉茶碗こくゆうちゃわん(「天目てんもく」)のうち、わが国で最も格付け高く、貴重なものとして伝えられてきた。今日現存するのは、世界で3碗のみ。大徳寺龍光院りょうこういん、藤田美術館、静嘉堂所蔵の各1口で、いずれも国宝に指定されている。

近年、中国で初めて南宋の都・臨安府(杭州)の官衙かんが(迎賓館)跡地から曜変天目の陶片が出土し、注目を集めている。

本碗は「稲葉天目いなばてんもく」との別称があるように、江戸時代に入って長く淀藩主稲葉家に伝えられた。昭和9 年(1934年)より岩崎家の所蔵となる。中国陶磁の至宝とされる名碗である。

※ 静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区)で開催される展覧会「磁州窯じしゅうようと宋のやきもの」 (2020年1月18日~3月15日)で展示される。 ( 文・静嘉堂文庫美術館 )

静嘉堂文庫美術館公式ページはこちら

http://www.seikado.or.jp/

Share

0%

関連記事