「曜変」とは窯変の意味で、内面の黒釉上に丸い斑紋がうかび、その周囲に、青から藍に輝く光彩があらわれたものをいう。中国・宋時代の建窯(福建省)で焼成された黒釉茶碗(「天目」)のうち、わが国で最も格付け高く、貴重なものとして伝えられてきた。今日現存するのは、世界で3碗のみ。大徳寺龍光院、藤田美術館、静嘉堂所蔵の各1口で、いずれも国宝に指定されている。
近年、中国で初めて南宋の都・臨安府(杭州)の官衙(迎賓館)跡地から曜変天目の陶片が出土し、注目を集めている。
本碗は「稲葉天目」との別称があるように、江戸時代に入って長く淀藩主稲葉家に伝えられた。昭和9 年(1934年)より岩崎家の所蔵となる。中国陶磁の至宝とされる名碗である。
※ 静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区)で開催される展覧会「磁州窯と宋のやきもの」 (2020年1月18日~3月15日)で展示される。 ( 文・静嘉堂文庫美術館 )
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