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2025.2.4

尺八×琵琶×打楽器 — 物語に彩り 舞台「平家物語」で音楽担当

芝居・朗読・舞踊を融合させた、新たなスタイルの舞台「平家物語―胡蝶こちょう被斬きられ―」が〔2025年〕3月14~17日、東京・初台の新国立劇場中劇場で上演される。音楽で彩りを添えるのは、尺八、琵琶などの和楽器だ。尺八奏者で劇中曲の作曲も担う元永ひろむさん=写真右、三輪洋子撮影=は「和楽器を聴く機会がない人に、日本の伝統音楽に触れてもらうチャンス。表現の幅を出して、今聴いても新鮮と思ってもらいたい」と意気込む。

舞台「平家物語-胡蝶の被斬-」で演奏と音楽監修を務める尺八奏者の元永拓さん(21日、東京都千代田区の読売新聞東京本社で)∥三輪洋子撮影

演出の朴璐美ぱくろみさんが関わる朗読劇に、起用された経験を持つ。元永さん一人で音楽を担うこともあったが、今回は琵琶と打楽器の3人で挑む。「打診を受けた時、やはり平家物語なら琵琶だろうと。そして、合戦場面もあるなら打撃的な鳴り物がほしいとなった」

約9年間、海外で過ごした経験から和文化に興味を持ち、上智大入学後に尺八を始めた。津軽三味線の吉田兄弟の兄、吉田良一郎さんらと組む邦楽ユニット「WASABI」や、楽器や流派の垣根を越えた“和楽器オーケストラ”の「日本音楽集団」などで活躍する。「日本音楽集団で共演する琵琶の生かし方は理解している。深い余韻を残すのが魅力。インパクトを与えたい部分で活用したい」と構想を明かす。

元永さん一人で音楽をつけていた時も、明確なメロディーがなくても、尺八の音色だけで舞台の雰囲気を変化させてきたという。「朴璐美さんは間を大切にするので、楽器を入れていくポイントが決まってくる。語りに呼応したり、お話の流れに沿って様々な工夫を示したい」と語る。

藤高りえ子さん

琵琶は藤高りえ子さん=写真左=、打楽器は多田恵子さんが担当する。脚本は小林靖子さん、振り付け・ステージングに森山開次さん。麻実れいさん、緒方恵美さん、梶裕貴さん、湖月わたるさん、咲妃みゆさん、関智一さん、山路和弘さん、山寺宏一さんらが出演する。

藤高さんは2月23日、「平家物語―胡蝶の被斬―」の関連企画として開催される講座「琵琶への誘い」で演奏を披露する。琵琶という楽器の時代背景や種類、演奏の形態などの歴史を音と映像で紹介。講師は田原順子さんが務める。会場は東京・大手町の読売新聞ビル3階「新聞教室」。問い合わせは、☎03・3642・4301。

(2025年2月2日付 読売新聞朝刊より)

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