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2024.12.4

「菊乃井」で学ぶ日本の食文化 ― 広島サミットで提供した料理 アレンジ

京都市の老舗料亭「菊乃井本店」で〔2024年〕11月4日、「日本の食文化の真髄しんずいを学ぶ」という催しが開かれた。主人の村田吉弘さん(72)が、昨年5月に広島での先進7か国首脳会議(G7サミット)に提供した日本料理のアレンジを味わうもの。「料理屋はリビング・ミュージアム(生きた美術館)」と語る村田さんのもてなしを、全国から参加した計約50人が堪能した。

広間には「洛中洛外図屏風びょうぶ」も置かれた。「料理だけでなく、全体の雰囲気を味わってほしい」と話す村田さん

日本の食文化の継承や発展を目的とした文化プロジェクト「味道みどう」などが企画。店は大正元年(1912年)に八坂神社近くで創業し、歴代主人が美術品を収集している。催し当日は、広間の床の間に伊藤若冲じゃくちゅう筆の掛け軸、棚には尾形光琳作の文箱ふばこ硯箱すずりばこが飾られた。

献立は13品あり、北大路魯山人ろさんじん作の器も使われた。マクロン仏大統領が関心を示した「レモン味噌汁みそしる」は広島レモンに大豆とこうじを加えて発酵させた味噌を溶いた冷たい汁で、サミットではジュンサイ、今回は紅色の海藻・ミリンを浮かべた。好評だったお好み焼きは岩ガキの代わりに旬の真ガキを用い、「オタフクソース」の特製ソースをかけた。

マグロのお造りは北大路魯山人作の器に
レモン味噌汁
真ガキのお好み焼き

「心と体の栄養を一緒に取ってこそ料理」と村田さん。思いに触れた参加者は「日本の食文化の総合性を深く感じた」と話した。

(2024年12月1日付 読売新聞朝刊より)

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