岐阜出身の洋画家、山本芳翠(1850~1906年)の足跡を皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)の収蔵品などでたどる展覧会「PARALLEL MODE:山本芳翠―多彩なるヴィジュアル・イメージ―」が岐阜県美術館で〔2024年〕12月8日まで開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。
1878年(明治11年)のパリ万国博覧会事務雇いとして渡仏した山本芳翠は、この博覧会で名声を不動のものとしたジャン=レオン・ジェロームのもとで洋画を学ぶ。西洋で描き続けられてきた永遠なる美の姿、とりわけ女性美を追求した「裸婦」を、渡仏して間もない80年頃に完成させた。
深い森の中で、苔むした岩場に白布を敷いて横臥する裸婦は、まるで照らされた舞台で演じているかのように、象徴的な存在として描かれている。
本展では、この作品を描くきっかけとなった「天女」も見られる。約120年ぶりの展示だ。パリ万博にジュール=ルイ・マシャールが出品した作品の模写で、パリから、支援者である実業家の岸田吟香(1833~1905年)へ届けられた。(岐阜県美術館学芸員 廣江泰孝)
(2024年11月26日付 読売新聞朝刊より)
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