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2024.3.4

石川の伝統工芸品 支援販売 ― 東京国際フォーラムに7万人

石川県の工芸の逸品を販売する「いしかわ伝統工芸フェア」が〔2024年2月〕16~18日、有楽町の東京国際フォーラムで開かれた。能登半島地震で開催が危ぶまれたが、来場者は昨年の2倍以上となる7万人強にのぼった。

大勢の来場者が詰めかけた「いしかわ伝統工芸フェア」

渋い黒灰色が特徴の珠洲焼は、職人の中島大河さん(29)と林春香さん(35)が店頭に立った。ともに地震発生時は金沢市の実家などにいたが「珠洲市の工房は壊れ、自宅も住めなくなった」(中島さん)。散り散りに避難した他の職人の作品は集められず、「自分たちの物だけでも売ってきて」と仲間から送り出されたという。2人が用意した計百数十点は完売した。

輪島塗製造販売の「岡垣漆器店」の岡垣祐吾社長(43)は、今月初旬に米ニューヨークでの見本市にも参加。「ファイティングポーズを取り続けなくては」と積極出展を続ける思いを語った。「たくさん販売して倉庫に空きが出れば、工房を失った職人たちに使ってもらうことができる」

種々の催事もあり、金沢市の茶陶、大樋焼おおひやきの十一代目でデザイナーでもある大樋長左衛門(年雄)さん(65)が演台に立った。地震で、日展の工芸美術部門最高賞受賞作品などが壊れたことを映像とともに明らかにしたが、「悲しみがあるから、いいものを作ろうと思うもの」と前を向いていた。

各地の百貨店などでも工芸品の支援販売が相次いでいる。4月26、27日には、中部経済産業局が名古屋市のグローバルゲートで物販催事「職手継祭してつさい」を開く予定。

(2024年2月28日付 読売新聞朝刊より)

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