皇室は1000年以上もの間、みずからが和歌や書などの「作り手」となって時代の文化を育むとともに、貴重な文化財を守り、継承する役割を担ってきた。収集の歴史は古く、奈良時代、聖武天皇ゆかりの品々を納めた正倉院宝物にさかのぼる。紙や絹など脆弱な素材で作られたものが、今に伝えられている例は世界でも珍しい。皇室ゆかりの品々を収蔵する「三の丸尚蔵館」が、宮内庁から国立文化財機構に移管され、新しい施設でオープンした。開館記念展「皇室のみやび―受け継ぐ美―」を来年〔2024年〕6月まで4期に分けて開催、国宝はじめ皇室が守り伝えた日本の美を紹介する。
三の丸尚蔵館では、特別展示「御即位5年・御成婚30年記念 令和の御代を迎えて―天皇皇后両陛下が歩まれた30年」を同時に開催している。
ご成婚の儀式で着用した装束や十二単、愛子さまの産着や上皇ご夫妻からお祝いに贈られた犬の張り子などのほか、天皇陛下が小学校高学年の頃から愛用される望遠鏡など身近な品も並んだ。
即位の一連の儀式のうち、参列した人たちを招いて催される饗宴「大饗の儀」で飾られた「主基地方風俗歌屏風」は、2020年の特別展で一度展示されたが、コロナの影響で中断されたため、今回改めてお披露目することとなった。
〔2023年12月〕24日まで。入館料は「皇室のみやび」展と合わせて一般1000円、大学生500円。
(2023年12月3日付 読売新聞朝刊より)
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