文楽技芸員が自ら企画したファン感謝イベント「文楽祭」が〔2023年〕9月25日、国立劇場小劇場で開催された。
チケットは発売直後に売りきれる人気で、この日はロビーで技芸員が来場者を迎え、サインや写真撮影にも気軽に応じていた。
目玉企画の「天地会」では、太夫、三味線、人形遣いの技芸員がそれぞれ専門外の芸に挑んだ。「菅原伝授手習鑑 寺子屋の段」が上演され、文楽でも屈指の悲劇的な演目にもかかわらず、慣れない楽器や人形の扱いに悪戦苦闘する技芸員たちの姿に、客席からは大きな笑い声と激励の拍手が起こっていた。
中でも、三味線を担当した豊竹呂勢太夫さん(太夫)は名場面の「いろは送り」を含めた後半をほぼ一人で鮮やかに弾ききり、そばで太夫を勤めていた竹沢団七さん(三味線奏者)から「うまいっ!」と絶賛されていた。
※写真はいずれも小川知子撮影
(2023年10月1日付 読売新聞朝刊より)
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