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2023.5.12

【修理リポート】重要文化財「長命寺文書」(滋賀・長命寺蔵) 冊子のまま解体せず補修

重要文化財「長命寺ちょうめいじ文書もんじょ」(滋賀・長命寺蔵)は初年度の修理を終え、〔2023年〕3月末に寄託先の滋賀県立安土城考古博物館(近江八幡市)に戻った。

修理の状態を確認する武内隆韶りゅうしょう住職(右から2人目、滋賀県近江八幡市で)

長命寺文書4567通のうち「穀屋文書」16通。江戸時代の仏事や法事の記録、覚書などで、折りたたまれたり、こよりでじられたりしており、虫食いによる欠けや水の染み、折れやしわなどが目立っていた。冊子のまま解体せずに、クリーニングや補修などを施した。こよりの綴じ方などは、現状でも保管、展示に支障はなく、一度ほどいてしまうと再現が難しいため、現状のまま残したという。修理を担当した「坂田墨珠堂」(大津市)の嘉門一彦さん、佐味義之さんが「過剰な処置はせず、オリジナルの保存に努めた」と説明した。

修理前の冊子状の紙は角がめくれ上がっていた =坂田墨珠堂提供
角の丸まりがなくなった=坂田墨珠堂提供

武内健斗副住職(34)は「文字で書かれた情報だけでなく、どのように使われていたかも貴重な情報だとわかった。未来に伝える礎になればうれしい」と話した。

(2023年5月6日付 読売新聞朝刊より)

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