企画展「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」が〔2023年3月〕21日、金沢市の国立工芸館で開幕する。陶磁、金工、ガラスなど工芸の各分野で活躍する作家20人がポケモンをモチーフに作品づくりに挑み、完成させた約70点を展示する。作家の横顔や作品の特徴、駆使した技巧などを紹介する。
(東京都狛江市)
手のひらに収まるほどの大きさで、丸みを帯びた体形のココガラの金属製置物。パーツを動かしていくと、横腹が羽の一部になり、内部から顔が出てきて雄々しい進化形のアーマーガアになる。「ココガラの中にアーマーガアの部品をまとめて収納し、効率的に変形させることに苦心しました」。進化後の姿を大きくみせることに気を付けたという。
セミがカエル、まんじゅうがネズミになる作品もある。別の形態に変える技術は独自のもので、作品を「可変金物」と名付けている。制作では、3次元コンピューター利用設計(CAD)を使って設計し、3次元プリントで原型を作るなど現代の技術を駆使する。
しかし、可変金物の発想は、江戸時代に流行した根付作りで生まれた。根付は、たばこ入れや印籠などをひもで帯につるすための留め具。武蔵野美術大大学院を修了した翌年の2014年から手がけてきた。きっかけは東京都内のギャラリーから根付展への出品を誘われたことだった。
「虫の触角や脚といった細い部分は、身につけると折れやすいので、内部に収納できないかと考えました」。それが可変金物の誕生につながった。いまは「パーツを動かした時に『カシャ』と鳴ったりする楽しい作品を作りたい」と語る。
生まれ育った都内の住宅街でいまも暮らす。子どものころは、動物やロボットの姿に変形するアニメやロボットのおもちゃ、プラモデル作りに夢中だった。「モノの構造や組み立て方を無意識に学んでいたのでしょう」
約50の部品で構成した出品作品は、構想から完成まで半年かかった。バネで部品を固定するなど根付作りで培った技術を詰め込んだ。会場には同じ構造の3点を飾り、ココガラ、変形途中、アーマーガアの形状を見比べてもらう。
▽会期 〔2023年〕3月21日~6月11日。休館は月曜(5月1日は開館)、5月14日。問い合わせはハローダイヤル050・5541・8600。
▽主催 国立工芸館、NHKエンタープライズ中部、読売新聞北陸支社
▽特別協力 株式会社ポケモン
▽制作協力 NHKプロモーション
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(2023年3月3日付 読売新聞朝刊より)
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