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2026.1.25

【修理助成 全国に広がる2】重要文化財「大威徳明王だいいとくみょうおう像」など(高知・竹林寺蔵)

2026年度「紡ぐプロジェクト」修理助成事業

2026年度の「紡ぐプロジェクト」修理助成事業は、宮城県から重要文化財「瑞巌ずいがん寺本堂墨絵の間障壁画」(瑞巌寺蔵)、福岡県から同「不空羂索けんさく観音立像」(観世音寺蔵)、高知県から同「大威徳明王だいいとくみょうおう像ほか12件」(竹林寺蔵)が申請された。修理助成対象となった計7件はいずれも劣化が進み、絵画3件は本紙の亀裂やのりの劣化、仏像3件は漆箔しっぱく層の浮き上がりや虫食いなどが見られる。貴重な文化財を後世に伝えるため、素材を調査し、最善の修理方法を検討したうえで、1年~数年の作業に着手する。

重要文化財「大威徳明王だいいとくみょうおう像」 高知・竹林寺蔵
五大明王の一尊。鎌倉時代の制作とみられ像高160センチ。火炎の光背と水牛座をそなえる
平安~室町期の14体

竹林寺は奈良時代の僧・行基ぎょうきによって開創されたと伝わる高知市の古刹。秘仏の本尊で重要文化財の文殊菩薩及ぼさつおよび侍者像(5体、平安時代)のほか、重文の仏像14体を本堂や宝物館に安置する。

本堂や書院が重要文化財、庭園が名勝として国の指定を受けるなど文化財を多数所蔵する。四国八十八ヶ所霊場の第三十一番札所としても知られ、お遍路さんや観光客、クルーズ船による来航者も多い。

今回修理されるのは、平安~室町時代に造られた像高約49センチ~約160センチの大威徳明王だいいとくみょうおう像、白衣びゃくえ観音立像、馬頭ばとう観音立像、阿弥陀如来立像、多聞天たもんてん立像、増長天ぞうちょうてん立像、愛染あいぜん明王坐像、千手観音立像、薬師如来坐像、十一面観音立像、釈迦如来坐像、勢至せいし菩薩立像、阿弥陀如来坐像、大日如来坐像の14体。多聞天と増長天は2体で1件とみなし計13件となる。

全体に虫害が進行し、虫食い穴、木部の朽損、表面の漆箔や彩色層の浮きなどが各所にみられ、台座のゆがみ、部材の割れ、脱落も生じている。現状のままでは保存状態が悪化し、安全で適切な公開に支障をきたすおそれがあるという。

解体を伴わない応急措置を含む保存修理を、各像の安置場所内で進める。具体的には燻蒸くんじょう処理で虫害の進行を抑止し、構造部分と表面の安定化、適切な保存環境の確立を図る。

2026年度中の完了と一般公開を目指している。

重要文化財「白衣びゃくえ観音立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「馬頭ばとう観音立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「阿弥陀如来立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「多聞天たもんてん立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「増長天ぞうちょうてん立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「愛染あいぜん明王坐像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「千手観音立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「薬師如来坐像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「十一面観音立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「釈迦如来坐像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「勢至せいし菩薩立像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「阿弥陀如来坐像」  高知・竹林寺蔵
重要文化財「大日如来坐像」  高知・竹林寺蔵

(2026年1月11日付 読売新聞朝刊より)

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