「紡ぐプロジェクト」の助成対象として修理を進めていた国宝4件、重要文化財4件が、2024年度の作業を終えて、所蔵元などに戻った。今月〔2025年5月〕と来月の2回にわたり、修理の詳細をリポートする。
重要文化財「東妙寺文書」の修理が完了し、〔2025年〕2月、所蔵する東妙寺(佐賀県吉野ヶ里町)の早田空順住職(53)の立ち会いのもと、寄託先の佐賀県立博物館に納品された。同館で保管され、今後は展示も検討される。
文書は、14世紀前半の後醍醐天皇による
「修理工房
宰匠の竹内友希子・主任技師(53)は「調査、検討を重ねた上で修理をしてきた。整った環境で保存されるならば、100年以上維持できると思う」と手応えを語った。
文書を1通ずつ確認した早田住職は「表面が毛羽立っていた文書が、パッと明るくなり、文字もすっきりと見えるようになった。今後は研究での活用や、修繕の過程が伝わるように展示もして、文化財がどう維持されているかを多くの人に知ってもらいたい」と話した。
(2025年5月4日付 読売新聞朝刊より)
紡ぐプロジェクトとは
国宝や重要文化財、皇室ゆかりの名品、伝統文化、技術などを保存、継承していく官民連携の取り組み。文化庁、宮内庁、読売新聞社が2018年に開始した。展覧会の収益の一部や、企業からの協賛金などを活用し、文化財の修理を助成し永続的な「保存・修理・公開」のサイクル構築を目指す。これらの文化財の魅力や修理作業の経過に加えて、次世代に伝える伝統芸能、工芸の技術などを、紙面やサイトを通じて国内外へ情報発信している。
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