「紡ぐプロジェクト」の助成対象として修理を進めていた文化財が、2023年度の作業を終え、次々に所蔵元に戻った。随心院の「
金剛薩埵坐像 」や宝積寺の「十一面観音立像」は漆箔 の剥落 止め、西福寺の「蓮池図」は折れの修理などに多くの力を注いだ。
重要文化財「薬師如来坐像」は約130年ぶりの修理を終えて〔2024年〕3月、所蔵元の
これまで、頭部は平安前期、体部は後世に補われたものと考えられていたが、今回の修理により、頭部も体部も平安前期の作であることが確認された。直径120センチを超える大木から彫り出した「一木造り」で、像の内側のくりぬいた部分は、鉛を熱して作る「
修理では、顔の部分の表面の浮き上がりを抑えるなどしたため、坂井田良宏住職(77)は「お顔が柔和になられた」。
修理に並行して、収蔵する薬師堂の屋根瓦をふき替えるなど、保存環境の整備も進めた。4月17日には記念の開眼法要が営まれ、同寺が属する臨済宗建仁寺派の小堀泰巌管長らが参列した。あす6日まで一般公開する。
(2024年5月5日付 読売新聞朝刊より)
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