今年度〔2024年度〕から5年計画で修理が始まった
八相涅槃図は縦約210センチ、横約280センチ。鎌倉時代の制作とみられている。横たわる釈迦の姿を中央に、悲嘆に暮れる弟子や動物を周囲に描いた。さらに、画面両脇に設けた縦長の区画に、釈迦の誕生や出家、初めての説法など「八相」と呼ばれる出来事を描いた。
劔神社の境内にはかつて織田寺という寺院があり、本作はその本堂に掛けられていたとみられている。1949年に奈良国立博物館に寄託された後も、大規模な仏教美術の展覧会にたびたび出品され、八相涅槃図の優品として知られてきた。しかし現状は傷みが激しく、公開を大幅に制限せざるを得ない状況という。
この日は修理を担当する会社「文化財保存」(奈良市高畑町)の技師が本作を掲示し、強い折れや欠失、顔料の
劔神社の田中紘範
(2024年10月6日付 読売新聞朝刊より)
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