仏画の最高峰とも称される国宝「普賢菩薩像」(12世紀、東京国立博物館蔵)の3年にわたる修理が3月31日、完了した。
「普賢菩薩像」は戦後の文化財保護法で初めて国宝に指定された美術品の一つ。下地の絹や絵の具の傷みが著しく、日本の美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」の助成で2019年度から修理が進められてきた。
当初は2年半で終える予定だったが、作品の裏側に直接貼る肌裏紙に色材を混ぜた糊が使われていることが判明。糊の除去などに時間がかかり、完了時期が延びた。一方で、絹が透けることを生かして、絹の裏からも絵の具を塗って豊かな色彩を表現する「裏彩色」など、当時の技法を確認できた。
文化庁の伊藤久美文化財調査官は「文化財修理のお手本と言える修理ができた。普賢菩薩の肌の白さや衣の色彩の豊かさがさらに引き立ったと思う」と評価した。
(2022年4月1日付 読売新聞朝刊より)
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