滋賀・長命寺に伝わる重要文化財「長命寺文書」のうち、紡ぐプロジェクトの助成で修理を終えた「穀屋文書」7通と「長命寺参詣曼荼羅」3点が〔2025年〕3月25日、寄託先の滋賀県立安土城考古博物館(近江八幡市)に戻った。
「長命寺文書」は平安~明治時代の古文書群(全4567通)で、今回は3年間で「穀屋文書」51通と「長命寺参詣曼荼羅」3点を修理した。
折り畳んだ状態で保存することになった「参詣曼荼羅」。修理によって色鮮やかになった
この日は、修理を担当した坂田墨珠堂(大津市)の佐藤麻衣子課長らが、武内隆韶住職(71)らに、1点ずつ修理箇所を指さしながら作業内容を説明した。参詣曼荼羅は、参詣や寄付を呼びかける際、折り畳んだ状態で持ち運ばれ、用いられてきた。畳みじわのある箇所はこすれなどで傷みやすく、修理後は巻いて保存することも検討されたが、歴史的な経緯をふまえ、折り目を減らして畳んで保管することとした。
武内健斗副住職(36)は、「100年、200年先のことを考え、最善の修理をしていただくことができた。展示の機会を作って、当時使われていた様子なども知ってもらいたい」と話した。
(2025年6月1日付 読売新聞朝刊より)