文化庁、宮内庁、読売新聞社が進める「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業で、高野山金剛峯寺(和歌山県高野町)所蔵の仏像2体の像内にあった経典の修理が完了し、30日、高野山霊宝館に納品された。経典は4月13日まで同館で展示される。
2体は鎌倉時代を代表する仏師・快慶の作で、重要文化財「木造執金剛神立像」と「木造深沙大将立像」。胎内から経典「宝篋印陀羅尼」が発見され、昨年4月から奈良国立博物館(奈良市)の修理施設で作業が進められてきた。
この日は修理した会社の担当者が霊宝館を訪れ、固着した巻物を開いたり、紙片をつなぎ合わせたりした15紙を納品。霊宝館の鳥羽正剛学芸員が状態を確認し、うち2紙を館内に展示した。経典の内容から仏像2体が鎌倉時代に作られたことも確実になったという。
鳥羽学芸員は「文字を実際に見ると、当時の人が何を思って経典を書いたか推察できる」と話した。今後は研究を進め、経典を書いた人物の特定などにつなげたいという。
高野山霊宝館は、午前8時半~午後5時。一般600円、高校・大学生350円、小中学生250円の拝観料が必要。公式サイトはこちら。
(読売新聞 和歌山支局橋本通信部 坂戸奎太)
2020年3月31日付読売新聞より掲載
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