戦国武将・上杉謙信をまつる上杉神社(山形県米沢市)所蔵の重要文化財「服飾類」(室町時代~桃山時代)のうち、京都国立博物館の文化財保存修理所で修理を進めている4点について11月6日、関係者らが修理の進捗を確認した。
濃淡の茶色が交互に織られた小袖「茶地竹雀丸紋綾片身替胴服」は、ほつれた襟の部分の補修と、剥がれが目立つ濃い茶色部分の接着を進めている。
鮮やかな雲や竜が白色の表地の前面と背面に描かれる「白地雲竜平絹彩色陣羽織」も、経年劣化で断片化した彩色部分の接着を行っており、それぞれ状況を確かめた。
裂などをパッチワークのように縫い合わせた「金銀襴緞子等縫合胴服」は、糊付けされた裂の剥がれた部分の再接着を進めている。今後は糊付けがなく、糸で補修できる部分を縫い合わせるという。
光沢のある黄色い表地の「黄地平絹流水梅扇面描絵胴服」は、裏地を保護する裂の色を協議した結果、透かして現状を確認しやすくするため、白を基調とする。今後は色みがわずかに入ったものを複数検討した上で裂を決め、作業に入る。
上杉神社稽照殿の角屋由美子・学芸員は「緻密で繊細に作業を進めてもらい、感謝している」と話し、修理を担う松鶴堂(京都市東山区)の依田尚美・染織担当課主査は「可能な限り今の状態を残せるよう、より良い方法を考えていきたい」と語った。
この日は上杉家17代当主・上杉邦憲さんも訪れ、「この衣装は、謙信公、景勝公が着ておられた跡まで残っており、上杉家にとっても大変貴重なものであるとともに、日本の服飾文化の遺産としても大事なものだと思っている。服飾類を将来に残すため、関係者の皆さんに極めて細かい作業をしていただいているのを本日拝見し、大変ありがたく、感激している」と話していた。
(読売新聞京都総局 辰巳隆博 、撮影 写真部・前田尚紀)
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