文化庁、宮内庁、読売新聞社が推進する日本の美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」の文化財修理事業で、国宝「普賢菩薩像」(12世紀、東京国立博物館蔵)の修理方針を話し合う第1回検討会議が6月27日、東京・上野の同博物館で行われた。
法華経の信仰者を守護するために姿を現す、白い象に乗った普賢菩薩が、縦158・7センチ、横74・5センチの画面に描かれている。優美な彩色や繊細な描写で、平安仏画屈指の名品とされる。
この日は、壁に普賢菩薩像が掛けられ、日本東洋美術史が専門の増記隆介・神戸大学准教授や修理技術者らが状態を確認。下地の絹や絵の具の傷み具合などを丹念に調べた。今後、検討を重ねながら、約2年半かけて修理する予定。沖松健次郎・同博物館調査研究課絵画・彫刻室長は「今のイメージを崩さないように修理し、後世にきちんと伝えていきたい」と話した。
(2019年6月28日読売新聞朝刊より掲載)
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