2021.5.24

【ボンボニエールの物語vol.46】天皇、皇后両陛下ご結婚の物語

丸形鴛鴦文
皇太子同妃両殿下結婚祝宴 平成5年(1993年)6月15日から3日間
径 5.8 ㎝ 高さ 2.1 ㎝(学習院大学史料館蔵)

天皇、皇后両陛下は、平成5年(1993年)6月9日に結婚された。「皇太子徳仁なるひと親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律」により休日となったその日は、朝から雨模様。諸儀式の後におこなわれるパレードがどうなることやら、とはらはらさせられたが、パレードの直前には雨もやみ、薄日も差してきた。天気もお二人を祝福するかのようだ、とテレビの前で感慨にふけったことを思い出す。

今回は、そのご結婚にまつわるボンボニエールの物語である。

徳仁親王殿下のボンボニエール

陛下は、昭和35年(1960年)2月23日にお生まれになった。そのお生まれや着袴ちゃっこの儀に関わる話やボンボニエールについては、すでにお話ししている。(【ボンボニエールの物語vol.16】令和初めての 天皇陛下のお誕生日!

学習院の幼稚園、初等科、中等科、高等科と進まれ、昭和53年(1978年)、学習院大学文学部史学科に進学された。部活動では音楽部に所属され、ビオラを担当。今でも「OBオケ」で演奏を続けられている。

大学在学中の昭和55年(1980年)2月23日に20歳の誕生日を迎えられた陛下は、成年式を挙行された。その際のボンボニエールは扇形。蓋部分に陛下のお印であるあずさが葉を広げたデザインである。

扇形梓文
徳仁親王殿下御成年式 昭和55年(1980年)2月24日
5.7×6.5 高さ 1.2 cm(個人蔵)
ご結婚のボンボニエール

陛下が学習院大学人文科学研究科(博士前期課程)に入られたのは、昭和57年(1982年)。同58年から60年までは、英国オックスフォード大学に留学された。帰国された頃より、ご結婚が話題となるようになった。

そのような中、昭和61年(1986年)10月18日、東宮御所で催されたスペイン国王カルロス1世の長女エレナ王女歓迎の茶会で、雅子さまに出会われたという。

外務省職員であった雅子さまはその後英国に留学され、帰国後も忙しく仕事をされており、お二人の交際はなかなか進展しなかったようである。しかし、平成4年(1992年)に再会され、その秋には、宮内庁新浜鴨場しんはまかもばで陛下が求婚されたという。

「皇室に入られることにはいろいろ不安もおありでしょうけれども、雅子さんのことは僕が一生全力でお守りしますから」。この有名な、キュンキュンする言葉を陛下から告げられた雅子さまは、「お受けいたします限りは、殿下にお幸せになっていただけるように、そして、私自身もいい人生だったと振り返られるような人生にできるように努力したいと思いますので」と答えられ、お二人の結婚の意思が固まった。

翌平成5年(1993年)1月6日午後8時45分、メディアは雅子さまが皇太子妃に内定したと一斉に報じた。陛下はその時、学習院大学で専攻されていた中世史のゼミを担当していた安田元久教授宅の新年会にいらしていた。陛下が客員研究員を務められていた学習院大学史料館のメンバー(私など)は新年の温泉旅行に出かけており、宿泊先の旅館で、陛下が教授宅から出て来られる様子をテレビで見て、大騒ぎした。

そして、皆が狂喜する中、この年の6月9日、結婚の儀が執り行われた。

国事行為として行われた結婚の儀、朝見の儀、宮中饗宴きょうえんの儀のうち、宮中饗宴の儀は6月15日からの3日間で計6回、皇居豊明殿で行われた。その際、招待客に贈られたのが、鴛鴦おしどり文のボンボニエール=トップ写真=である。「鴛鴦夫婦」にちなみ、結婚の際のボンボニエールによく用いられる意匠である。

丸形松鶴文
皇太子同妃両殿下結婚記念(御内宴) 平成5年(1993年)6月11日
径 5.8 高さ 2.45 cm(個人蔵)

もう一つの丸形松鶴文ボンボニエールは、6月11日に行われた親族との内宴の際に贈られたものとなる。

体調の優れない日々が続いた皇后陛下であるが、「僕が一生全力でお守りしますから」との言葉通り、陛下に見守られ、元気になられているように見受けられる今日この頃である。

長佐古美奈子

プロフィール

学習院大学史料館学芸員

長佐古美奈子

学習院大学文学部史学科卒業。近代皇族・華族史、美術・文化史。特に美術工芸品を歴史的に読み解くことを専門とする。展覧会の企画・開催多数。「宮廷の雅」展、「有栖川宮・高松宮ゆかりの名品」展、「華ひらく皇室文化-明治宮廷を彩る技と美―」展など。著作は、単著「ボンボニエールと近代皇室文化」(えにし書房、2015年)、共著「華ひらく皇室文化-明治宮廷を彩る技と美―」(青幻舎、2018年)、編著「写真集 明治の記憶」「写真集 近代皇族の記憶―山階宮家三代」「華族画報」(いずれも吉川弘文館)、「絵葉書で読み解く大正時代」(彩流社)など。

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