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2021.6.10

光る職人の多彩な技~「シブい工芸 たばこ盆」たばこと塩の博物館で開催

朝顔蒔絵まきえ螺鈿らでん手付きたばこ盆

たばこと塩の博物館(東京都墨田区)は、企画展「シブい工芸 たばこ盆」を7月4日まで開催中だ。

たばこ盆は、日本にたばこが伝来後、喫煙に必要な道具を備えるために登場した。一服の友というばかりでなく、小間物の収納や来客へのおもてなしとして、商店の宣伝媒体として、そして時には炭火を保つ生活必需品のような役割も担いながら、人々の暮らしに寄り添ってきた。

蚊帳美人喫煙図 18世紀前期 紙本着色
「邸内遊楽図」(部分) 17世紀中期 紙本着色

しかし、幕末に紙巻きたばこが流入すると、人々の喫煙形態はキセルから紙巻きたばこへと移り変わり、着火方法もマッチやライターへと変化していく。火入れと炭落としを備えた従来のたばこ盆も、時代に合わせて姿を変えていった。

夕顔蟋蟀こおろぎ蒔絵たばこ盆
暖簾のれん蒔絵提げたばこ盆

キセルでの喫煙があまり見られなくなった現代、もはや過去の存在となりつつあるたばこ盆だが、木工、漆芸、金工など職人たちの多彩な技を伝えるものが残されている。かつての日用品ながら、その形状や意匠など見どころは多い。

今回の企画展では、たばこと塩の博物館が所蔵する品から、約80点を展示。簡素な普段使いのものから絢爛けんらん豪華な大名道具まで、かつての暮らしとともにあったたばこ盆の数々を紹介する。

■15年、墨田区へ移転

たばこと塩の博物館は、政府の専売品だったたばこと塩の文化を伝えようと、日本専売公社(現日本たばこ産業=JT)が設立した。2015年に東京・渋谷から現在地に移転し、世界各地の喫煙具や浮世絵などのアート作品、塩にまつわる道具類などを展示している。

「たばこを吸う神」のレリーフ

常設展示室では、7世紀頃のマヤ文明の遺跡の神殿に描かれた「たばこを吸う神」のレリーフが出迎える。米大陸発祥のたばこが16世紀以降、嗜好しこう品として世界に広まった歴史や、江戸時代に庶民に溶け込んだ日本のたばこ文化を紹介。キセルや小物を収納するたばこ盆などの道具は、木工や漆芸による多彩な装飾が施され、美術工芸品としての見どころも尽きない。

細かい装飾が施された「メアシャムパイプ」

塩に関する展示は、重さ1.4トンの巨大なポーランド岩塩など、世界各地の塩資源の標本が並ぶ。古くから海水を煮詰めて塩をつくった日本の製塩技術も模型で紹介している。「塩の学習室」は、塩の結晶づくり体験が子どもに人気の夏休み恒例の企画だ。

千々岩良二館長は「たばこと塩に関わる歴史と文化を体系的にとらえた魅力ある企業系ミュージアムを目指し、展示内容を充実させたい」と話す。

開催概要

日程

2021.5.29〜2021.7.4

会場

たばこと塩の博物館
〒130-0003 東京都墨田区横川1-16-3

料金

一般・大学生100円、小・中・高校生50円、65歳以上50円(要証明書)

休館日

毎週月曜日

開館時間

午前11時~午後5時

入館締め切りは午後4時30分

お問い合わせ

03-3622-8801

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