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2022.3.17

沖縄の美と技の象徴・首里城―1989年の復元工事「風雨に耐える技術」

正殿の屋根の上に飾られた「龍頭棟飾」=清水建設提供

琉球が統一された1429年から約450年にわたって琉球王国の王宮だった首里城は、建物、施された飾りまで沖縄の美と技の象徴だ。幾度も焼失しながら再建され美しい姿を伝えてきたが、沖縄戦で首里城一帯が壊滅的な被害を受けた。

1989年から始まった復元工事を担当した清水建設九州支店の川上広行工事長は「安全を祈願する琉球王朝時代の祭事『木曳式』が県をあげて開かれた。工事中も現場の囲いの外から正殿に拝礼し祈る地元の人たちの姿を見て、これは大事業だと実感した」と振り返る。

復元には、首里城が描かれた史料や図面、改修時の記録などを参考にした。正殿の屋根に使う独特の赤い瓦は「風雨や紫外線、沖縄の台風の強い風にも耐えられるように」(川上さん)焼成の温度を探って、実際に使用した倍以上の枚数を焼いた。

「印象的だったのが龍頭りゅうとう棟飾むなかざり。当社の技術研究所で、防水性能や取り付け方などを検討しながら作業した」と話す。

92年に美しい姿がよみがえったが、2019年10月31日の火災で再び失われてしまった。沖縄県は26年に正殿の完成を目指して再建を進めている。

(2022年3月6日付 読売新聞朝刊より)

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