日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2024.8.8

迎え鐘 ご先祖に届け ― 京都・六道珍皇寺

約130年ぶりの修理を終えて公開された「木造薬師如来坐像」=川崎公太撮影

先祖の霊を迎えるお盆行事「六道ろくどうまいり」が〔2024年8月〕7日、〔京都市〕東山区の六道珍皇ちんのう寺で始まった。参拝者らは、故人を呼び寄せるとされる「迎え鐘」を次々と打ち鳴らした。10日まで。

平安時代に埋葬地だった鳥辺野とりべのの麓に位置する寺は、冥界めいかいの入り口とされ、先祖の霊がこの地を通って帰って来ると信じられてきた。

冥界まで音が響くとされる「迎え鐘」を鳴らす参拝者たち

参拝者は、故人の霊が移ると伝わる高野槇こうやまきの枝を露店で買い、冥界まで音が響くとされる鐘をつき、手を合わせた。迎えた霊は五山の送り火(16日)で旅立つという。坂井田良宏住職(77)は「コロナ禍を経て、皆が命の尊さを思い知らされた今、先祖を迎え入れ心から供養する機会にしてもらいたい」と話す。

期間中、今年約130年ぶりに修理を終えた同寺の重要文化財「木造薬師如来坐像ざぞう」も公開される。拝観は無料で、午前6時~午後10時。

(2024年8月8日付 読売新聞朝刊より)

Share

0%

関連記事