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2025.11.14

第72回全国民俗芸能大会 - 4県に伝わる踊りや歌 披露 愛媛・埼玉・福島・静岡

地域の文化や暮らしに根ざした郷土芸能を紹介する「第72回全国民俗芸能大会」〔2025年11月〕22日、東京・外苑前の日本青年館ホールで開かれる。一般財団法人日本青年館と全国民俗芸能保存振興市町村連盟の共催。今回は愛媛、埼玉、福島、静岡4県に伝わる踊りや歌が一堂に会する。

大会のルーツは100年前の1925年に開催された、日本青年館ホールのこけら落とし公演「郷土舞踊と民謡の会」。民俗学者の柳田国男らが企画運営し、地域の芸能を東京で鑑賞できる機会として36年まで続いた。戦中戦後の中断を経て50年に文部省芸術祭の主催公演「第1回全国郷土芸能大会」が開催され、現在の「全国民俗芸能大会」へと伝統をつないでいる。

大会は本公演と特別公演の2部構成で、本公演には四つの保存会が出演する。愛媛県宇和島市からは、立間鹿の子保存会。同市にある八幡神社の秋祭り・吉田まつりでは、「練物ねりもの」と呼ばれる出し物が町を練り歩く。その一つが親鹿や子鹿ら7人が舞う「鹿踊り(鹿の子)」で、哀調を帯びた節回しが印象的だ。

吉田祭のお練り行事の一つとして行われる鹿踊り(愛媛県宇和島市)

埼玉県久喜市の鷲宮催馬楽神楽わしのみやさいばらかぐら保存会は、同市の鷲宮神社に伝わる神楽を披露する。関東神楽の源流とされる鷲宮催馬楽神楽は、「古事記」「日本書紀」の神話などを題材とする舞踏劇で、典雅な舞が見どころ。

関東神楽の源流とされる鷲宮催馬楽神楽(埼玉県久喜市)

福島県浪江町の南津島郷土芸術保存会が踊るのは、五穀豊穣ほうじょうを願う田植たうえ踊り。東日本大震災に伴う福島第一原発事故の影響で会員の多くが避難生活を送る中、伝統を守る。3年前から東北学院大学(仙台市)の学生たちが担い手に加わり、福島県二本松市で練習を重ねて本番のステージに立つ。

約200年前から伝わる南津島の田植踊り(福島県浪江町)=菊池和子氏撮影

静岡県西伊豆町からは、海名野神明かいなのしんめい神社式三番叟さんばそう保存会勇義社が出演。海名野神明神社の秋祭りで奉納される人形三番叟を披露する。一人遣いの舞が特徴で、全国的にも珍しいとされる。

秋祭りで奉納される海名野神明神社の人形三番叟(静岡県西伊豆町)

同大会の担当者は「この舞台で上演し、みなさんにご覧いただくことが、各地で芸能に携わる方々の励みになっている。地元で演じているそのままの踊りや歌を、風景なども想像しながら堪能していただきたい」と話している。

本公演は午後1時開演。人形三番叟について解説、実演する特別公演も(同5時半開演)。入場料は前売り1500円で、電子チケットサイト「TEKET」で購入できる。当日券(2000円)は正午からホール受付で販売。問い合わせは、日本青年館公益事業部(03・6452・9012)へ。

(2025年11月2日付 読売新聞朝刊より) 

電子チケットサイト「TEKET」

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