奈良国立博物館(奈良市)で、7月17日(土)から9月12日(日)まで特別展「奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-」が開催される。
平安絵巻の傑作、国宝「辟邪絵」(展示期間:後期)や、平安仏画を代表する国宝「十一面観音像」(同前期)など、奈良博コレクションの中から選りすぐりの245件(うち国宝13件、重文100件=国宝は全て出品)の作品により、日本仏教美術1400年の歴史をたどる。
担当する同博物館学芸部教育室長・絵画部門主任の谷口耕生さんは、「奈良博は奈良のお寺からの寄託品も多く、これまでは館蔵品だけで仏教美術を通観する展覧会を行ったことがなかった。私たちも発見が多い展覧会になる」と力をこめる。
奈良国立博物館は、明治28年(1895年)にわが国2番目の国立博物館として開館した。以来、古都・奈良の社寺に伝わる仏教美術を中心に展示を行い、「奈良博」の愛称で広く親しまれてきた。
約2000件にのぼるコレクションの多くが仏像、仏画、古写経、仏教工芸などの優品で占められており、質・量ともに「仏教美術の殿堂」と呼ぶにふさわしい内容を誇っている。
今回の展示は全10章からなり、日本仏教の黎明期である飛鳥・白鳳・天平寺院の遺宝、密教や浄土教が生み出した仏像・仏画、日本の神々とほとけが織りなす神仏習合の造形、日本仏教を支えた高僧の肖像と書、奈良の地とゆかりが深い仏教美術など、各時代にわたる名品によって構成されている。
国宝「辟邪絵」は、疫病や災いを引き起こす鬼とたたかう<5人のヒーロー>を描いた平安絵巻。「天刑星」「栴檀乾闥婆」「神虫」「鍾馗」「毘沙門天」の勇ましくもユーモラスな姿を見事な筆致で描いている。今回は五つの場面すべてを同時公開する。
インドで誕生した仏教は、中央アジア、中国、朝鮮半島、日本へと伝播する過程で、地域に根ざした特色のある仏教美術が生み出された。古代において主要な仏像表現の刺繡で描かれた国宝「刺繡釈迦如来説法図」 の仏菩薩の表現は法隆寺金堂壁画に近いという。
聖武天皇が書写させた国家鎮護の「国宝 金光明最勝王経」 は、「この経を敬えば国が護られる」と説く経典。天平13年(741年)、聖武天皇は全国に国分寺を建立し、塔に金字最勝王経を安置するよう命じた。展示されるのは、備後国分寺のものとされる、奈良時代写経を代表する名品。
奈良博の仏教美術コレクションの魅力を心ゆくまで堪能できる展示となりそうだ。
辟邪絵 | TSUMUGU Gallery 紡ぐギャラリー (yomiuri.co.jp)
奈良国立博物館が所蔵する国宝「辟邪絵」をデジタル絵巻風に再現しました。作品のストーリーとともに、細部までクローズアップした画像を楽しめます。
開催概要
日程
2021.7.17〜2021.9.12
奈良国立博物館 東・西新館
〒630-8213 奈良市登大路町50番地
一般1500円、高校・大学生1000円、小中学生500円
(※前売りは一般1300円、高校・大学生800円、小中学生300円)
休館日
月曜日
※8/9は開館
開館時間
午前9時30分~午後6時
土曜日は午後7時まで。入館は閉館の30分前まで。館内が混雑した場合は、入館を制限する場合がある
お問い合わせ
050-5542-8600(ハローダイヤル)
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