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2024.5.10

伝統工芸「技を極める」展 ― 人間国宝、気鋭作家の16点

重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)と、気鋭の作家による工芸作品を展示する「技を極める――伝統工芸が伝えるメッセージ」(主催・読売新聞社、協力・公益社団法人日本工芸会)が〔2024年〕3月、東京都千代田区の旧近衛師団司令部庁舎で行われた。陶芸や染織、漆芸、金工、木竹工、人形などの16点が展示されたほか、出品作家によるトークイベントも注目を集めた。

伝統工芸展「技を極める」を鑑賞する人たち

20日は、陶芸作家の望月しゅうさん(63)、漆芸作家の浅井康宏さん(40)が登壇。2人とも大学や高校の時に陶芸や漆芸に魅了され、伝統や工芸という言葉は意識していないという。浅井さんは「高校時代にかっこいいと感じた熱狂でいまだに作っている。それを後世に伝えるのが仕事なのかな」と語った。

望月さんは、工芸品の実用と鑑賞の違いについて、「工芸は『用の美』と言われるが、私は花の絵付けをした花瓶を作ることがある。普通は花の絵は要らないが、作りたいし、喜んでくれる人もいる」と語った。また、大学時代の恩師が制作した陶箱に触れ、「何に使う物というものではなかったが無性にほしかった。その存在に意味があり、自分の心にとっては用なんだなと思った」と、持論を述べた。

(2024年5月5日付 読売新聞朝刊より)

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