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2022.6.27

【イタリアを魅了した人間国宝の技】Vol.4―会場構成の深澤直人氏「ミニマルな展示で技や美を見いだせるように」

この春、世界各地の優れた職人と、ものづくりの知恵などを紹介する「ホモ・ファベール展」がイタリア・ベネチアで開かれ、日本から蒔絵まきえや竹工芸、染織など12人の重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品が出品されました。

人間国宝の作品が展示された企画展「12 Stone Garden」の会場構成を担当したのは、海外メーカーのプロダクトデザインを担当することが多いデザイナーの深澤直人氏(65)。

会場の案内役を務める学生ら(アンバサダー)に展示について説明する深澤直人氏(左)=NAOTO FUKASAWA DESIGN提供

「会場がイタリアの伝統的な建物だったので、そこにミニマルな(必要最小限な)展示をすることで、かえって伝統工芸の技や美を見いだしてもらえるのではと直感的に感じた」と振り返る。大きな長方形の大理石を切り分けたような台を並べ、12人の作品を展示した。

大理石を切り分けたような展示台

出品作家が決まってからは、どの作品を展示するか、実際に工房に足を運んで本人と相談することもあった。「人間国宝の先生方は、手を使って実際にものを作り上げるクリエイターとしてだけでなく、新しい形を生み出すデザイナーとしても素晴らしい人たち」と実感したという。

「現地は、久々のアートイベントだったので、ジャーナリストも入場者も熱を帯びていたのが印象的だった。人間国宝の作品、それを生み出す技に対してリスペクトしてくれているのが伝わってきた。日本の工芸を評価する動きは、これからほかの国々でも出てくるだろう。デザイナーとしてその橋渡しができれば」と話していた。

(2022年6月5日付 読売新聞朝刊より)

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