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2024.10.10

【擬洋風建築6】関西の名建築 一般公開イベント

2024年11月2日に公開される擬洋風建築、龍谷大大宮学舎(京都市下京区)

洋風建築は明治時代初期の文明開化と共に急速に地方に伝わった。具体的には小学校や県庁舎などの公共的な建物から始まった。擬洋風建築の建設に力を注いだことでは山梨県令(県知事の前身)・藤村紫朗しろうや山形県令・三島通庸みちつねらが知られている。現代に残った擬洋風建築を将来に伝えるには、建物の適切な維持・管理に加え、だれもが親しめる活用法がカギを握る。

大阪・京都・兵庫で開催

近現代の名建築を一般公開するイベントが〔2024年〕10~11月、大阪、京都、兵庫で相次いで開かれる。商業都市・大阪、和風建築の近代化が進んだ京都、港町・神戸。それぞれの文化を反映した建物を間近に見るだけでなく、ガイドツアーなどでも楽しめる。

10月26、27の両日をメインに大阪市内で実施される「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2024(通称・イケフェス大阪)」は、無料公開が特徴の国内最大級の建築イベント。11回目の今回は過去最多となる約180件の建物などが公開される。

11月1~10日は京都市内で「京都モダン建築祭」(有料パスポート制)を開催。3回目の今回は、擬洋風建築の趣を伝える龍谷大大宮学舎など102件の建築が参加、うち45件がパスポート公開される。

掉尾ちょうびを飾るのが神戸市内を中心に開かれる「神戸モダン建築祭」(同)で、2回目の今回は同22~24日をメインに実施される。参加建物約80件のうち約20件がパスポート公開される。同建築祭は10月31日までクラウドファンディングで支援を募っている。

各イベントに関わる建築史家の倉方俊輔・大阪公立大教授は「建築を通じて、それぞれに歴史的な役割を担ってきた都市の個性に触れられる機会だ。多くの人に訪れてほしい」と語る。

(2024年10月6日付 読売新聞朝刊より)

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