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2022.11.1

日本の「風流踊」がユネスコ無形文化遺産へ…伝統的な盆踊りや念仏踊りなど41件

3年ぶりに観客を入れて行われた西馬音内の盆踊(2022年8月、秋田県羽後町で)=田中成浩撮影

全国から踊り手が集う郡上踊ぐじょうおどり(岐阜県郡上市)など、41件の伝統的な盆踊りや念仏踊りで構成される「風流踊ふりゅうおどり」が、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ、本部・パリ)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。ユネスコの評価機関が登録勧告したことを文化庁が1日、発表した。28日からモロッコ・ラバトで開かれる政府間委員会で正式に決まる見込みだ。

風流踊は衣装や道具に趣向を凝らし、歌や笛などの囃子はやしに合わせて踊る民俗芸能。屋形を何重にも囲んで踊り、目玉の“徹夜おどり”でも知られる郡上踊や、鮮やかな衣装に編みがさなどをかぶり流麗に踊る西馬音内にしもないの盆踊(秋田県羽後町)などがある。

郡上踊の「徹夜おどり」を楽しむ人たち(2022年8月、岐阜県郡上市で)=尾賀聡撮影

ほかに、京都市内各所で伝承されている六斎念仏、空海(弘法大師)ゆかりの雨い行事・綾子踊(香川県まんのう町)などで、今回はこれらの24都府県に伝わる41件が対象となった。

無形文化遺産の登録に必要な条件は?

無形文化遺産の登録には、国内で保護体制が取られていることが必要となる。各地で盆踊りなどは広く行われているが、中でも、今回は国の重要無形民俗文化財に指定され、地元で保存会などが活動している41件に絞られた。このうち、チャッキラコ(神奈川県三浦市)は、2009年にユネスコの無形文化遺産に登録済みで、政府はこれに新たに40件の踊りを追加。華やかで人目をひく「風流」の精神を体現した「風流踊」とグループ化して提案した。

いずれも江戸時代以前に由来を持つ踊りが多く、各地で厄払いや死者供養、豊作などを祈る行事として発展してきた。過疎化や少子化など時代に応じて変化しながら、現在まで伝承されている。今回の提案では、特に災害が多い日本で、被災地域の復興の精神的基盤となるなど、文化的・社会的な意義を強調している。

「疫病退散の舞」を踊る岩崎鬼剣舞保存会のメンバー(2020年4月)

日本の無形文化遺産はそのほかに能楽や歌舞伎、和食、和紙などがあり、チャッキラコを含め、現在22件が登録されている。

無形文化遺産とは…建築物など有形の文化財や自然の地形などを守る「世界遺産」に対し、無形の芸能や儀式、社会的慣習などを保護対象とする制度。2003年のユネスコ総会で保護条約が採択され、現在、世界で530件が登録されている。「風流踊」が登録されれば国内では20年の「伝統建築工匠こうしょうの技」以来となる。

(2022年11月1日付 読売新聞夕刊より)

「風流踊」
岩手県 永井の大念仏剣舞、鬼剣舞
秋田県 西馬音内の盆踊、毛馬内の盆踊
東京都 小河内の鹿島踊、新島の大踊、下平井の鳳凰の舞
神奈川県 チャッキラコ(※)、山北のお峰入り
新潟県 綾子舞、大の阪
山梨県 無生野の大念仏
長野県 跡部の踊り念仏、和合の念仏踊、新野の盆踊
岐阜県 郡上踊、寒水の掛踊
静岡県 徳山の盆踊、有東木の盆踊
愛知県 綾渡の夜念仏と盆踊
三重県 勝手神社の神事踊
滋賀県 近江湖南のサンヤレ踊り、近江のケンケト祭り長刀振り
京都府 京都の六斎念仏、やすらい花、久多の花笠踊
兵庫県 阿万の風流大踊小踊
奈良県 十津川の大踊
島根県 津和野弥栄神社の鷺舞
岡山県 白石踊、大宮踊
徳島県 西祖谷の神代踊
香川県 綾子踊、滝宮の念仏踊
福岡県 感応楽
長崎県 平戸のジャンガラ、大村の沖田踊・黒丸踊、対馬の盆踊
熊本県 野原八幡宮風流
大分県 吉弘楽
宮崎県 五ヶ瀬の荒踊
※「チャッキラコ」は2009年にユネスコ無形文化遺産に登録済み

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