2020.1.14

東京・太田記念美術館 絵師の個性あふれる筆致に酔いしれる「肉筆浮世絵名品展―歌麿・北斎・応為」

葛飾応為「吉原格子先之図」

東京・原宿にある浮世絵専門の美術館・太田記念美術館で、開館40周年を記念し、同館が所有する肉筆画の名品約60点を展示する展覧会が2月9日まで開催されている。 初期浮世絵の菱川師宣もろのぶから、喜多川歌麿、歌川広重、葛飾北斎、明治時代に活躍した月岡芳年よしとしまで、有名絵師の作品がほぼ時代ごとに並んでおり、画風や人々の流行の変化なども追うことができる。同館主幹学芸員の渡邉晃さんに見どころなどを聞いた。

まず注目したいのは、葛飾北斎と娘の応為おういの親子競演。北斎が亡くなる直前に手掛けた「雨中の虎」と、応為の名品「吉原格子先之図」が並ぶ。渡邉さんは「まるで現代のイラストのような、北斎のこってりとした色合いが楽しめます。応為の肉筆画は10数点しか確認されておらず、貴重な機会です」と話す。

葛飾北斎「雨中の虎」

北斎が30代後半に手掛けた「風俗三美人図」も展示される。「一見、筆でさっと書いたようですが、 よく見ると立体感がある。なぜそう感じるのか、北斎のテクニックをぜひじっくり見てください」と渡邉さん。

葛飾北斎「風俗三美人図」

明治時代の絵師・小林清親の「開化之東京両国橋之図」は、両国橋の上の人々や隅田川を渡る船頭の黒いシルエットと、家の明かりやガス灯の光の対比が美しい。「アメリカ人画家ホイッスラーがよく似た絵を描いており、影響を与えたのではと言われています」

小林清親「開化之東京両国橋之図」

版元が企画して絵師が下絵を描き、彫師ほりし摺師すりしとの分業で量産される浮世絵版画と違い、肉筆画は裕福な商人や武士ら注文主からの発注を受け、絵師が手作業で仕上げる一点物。高価な絵の具が使われることも多く、版画の浮世絵に比べて色が鮮やかで、絵師の細やかな筆致や技量もうかがい知ることができるという。

渡邉さんは「色彩、グラデーションの美しさ、模様の細かさ、人物の繊細な表情など、肉筆画ならではの魅力を味わっていただければ」と話していた。

館内の様子

(読売新聞紡ぐプロジェクト事務局 沢野未来)

開催概要

日程

2020.1.11〜2020.2.9

開館時間:午前10時30分~午後5時30分
(入館は午後5時まで)

会場

太田記念美術館
東京都渋谷区神宮前1-10-10

料金

一般700円、大高生500円

休館日

月曜日

お問い合わせ

TEL:03-5777-8600
(ハローダイヤル)

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