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2024.10.21

【皇室の至宝 北海道ゆかりの名品・下】 皇室の歴史 壮大に描く ― 「耀かがや大八洲おおやしま」横山大観(道立近代美術館上席専門員・久米淳之)

皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)が収蔵する美術工芸品の中から、国宝や、皇室と北海道のつながりを伝える作品などを集めた「皇居三の丸尚蔵館展 皇室の至宝 北海道ゆかりの名品」が道立近代美術館(札幌市中央区)で開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。

 

日向灘や高千穂といった天孫降臨神話の舞台とされる地に始まり、出雲、橿原神宮、法隆寺、春日大社、宇治平等院から京都に入って、伊勢神宮、五十鈴川、宮城きゅうじょう(皇居)、富士を巡り、海上に渦巻く風雲から顔をのぞかせる月輪がちりんまでが描かれている、全長27メートルに及ぶ絵巻だ。

「耀く大八洲」 日向灘
横山大観
1941年(昭和16年)
皇居三の丸尚蔵館収蔵
「耀く大八洲」 伊勢神宮
横山大観
1941年(昭和16年)
皇居三の丸尚蔵館収蔵

これらは皇室ゆかりの地で、大八洲(日本の古称)の創成と、皇室の歴史が織りなす壮大な景観が展開されている。

日本の歴史と風土をたたえる意図をもって制作された。再興28回院展に出品後、大観本人が献上を願い出た。(道立近代美術館上席専門員・久米淳之)

〔2024年10月〕27日まで。道立近代美術館(011・644・6882)。

(2024年10月20日付 読売新聞朝刊より)

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