天皇、皇后両陛下の長女愛子さま (21) が成年、上皇さまが米寿を迎えられたのは2021年12月。22年10月には、上皇后美智子さまも88歳の誕生日を迎えられた。こういった皇室の慶事などで記念品として下賜されるのがボンボニエール(金平糖などが入る菓子器)。愛子さまの成年式と上皇ご夫妻の米寿を記念して制作されたボンボニエールは今、学習院大学史料館(東京・目白)で見ることができる。
学校制服やランドセルは学習院で発祥したとされる。その大学史料館で開催中の春季特別展「学習院制服事始」(2023年6月3日まで)に華を添えるものとして、皇室の新しいボンボニエール3点も展示されている。
愛子さまの成年式は20歳の誕生日の数日後に執り行われたが、コロナ禍のため、式後の祝宴は開かれなかった。しかし、お祝いのボンボニエールは制作され、丸隅四角形の容器に愛子さまの「お印」であるゴヨウツツジがあしらわれた。史料館の学芸員で、本サイトの連載「ボンボニエールの物語」の筆者である長佐古美奈子さんによると、蓋と身が蝶番でつながっているのが特徴で、「このような形状は明治以来かもしれず、非常に珍しいものです」という。
上皇さまの米寿の祝宴も行われなかったが、純銀の容器に実りの時期を迎えた稲穂の文様と金色の菊の紋をあしらった、寿ぎのボンボニエールが作られた。上皇后さまの米寿は祝賀行事が行われ、同じ意匠でボンボニエールが作られたが、写真で見られるように、上皇さまのボンボニエールと並べると稲穂が向き合うようにデザインされており、「お二人の仲むつまじさが伝わります」と長佐古さん。
皇室の新しいボンボニエールの実物が見られる機会はなかなかない。愛子さまと上皇さまも通われた学園で、手のひらに載る、かわいらしい菓子器をぜひ見ておきたい。
(紡ぐプロジェクト事務局・記者 松浦一樹)
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