明治維新、1876年(明治9年)の廃刀令布告もあり、刀装具などを制作していた彫金職人たちは、その技術を巻きたばこの箱や銀製花瓶などの装飾にいかすなど、時代に即して表現する場を変えていった。水戸金工の流れをくむ明治期を代表する彫金家で、1896年(明治29年)に帝室技芸員に任命された
「太平楽置物」は勝珉によって作られた金属製の人物像で、舞楽「太平楽」の舞人を、顔立ちや衣装の細部にいたるまで、金・銀・銅・
鋳型を用いたり、
付属品の刀と
金属で作られたこの作品からは、作者である海野勝珉の鋭い観察力はもとより、各部材を鑿や槌などの工具で形作る高度な技術、それらを違和感なく組み上げる
(皇居三の丸尚蔵館研究員・細川晋太郎)
皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川―麗しき美の
煌 めき―【会期】〔2023年11月〕26日(日)まで ※6日(月)は休館
【会場】石川県立美術館、国立工芸館(金沢市出羽町)
【主催】石川県立美術館、国立工芸館、いしかわ百万石文化祭2023実行委員会、宮内庁、文化庁、国立文化財機構
【共催】北國新聞社
【特別協力】紡ぐプロジェクト、読売新聞社、前田育徳会
【問い合わせ】石川県立美術館076・231・7580、国立工芸館050・5541・8600(ハローダイヤル)
展覧会について詳しくはこちら → https://shozokan.nich.go.jp/exhibitions/2023ishikawa.html
(2023年11月4日付 読売新聞朝刊より)
0%