歌舞伎に登場するお姫様の代表的な大役三つを「三姫」と呼ぶ。女形の難役であると同時に、歌舞伎の華でもある。赤い衣装から「赤姫」とも呼ばれ、炎のような赤色は、奇跡さえも呼び込む激しい情熱の表象のようにも思えてくる。

「金閣寺」の雪姫、「
桜吹雪が舞う金閣寺。雪姫は謀反をたくらむ松永大膳(中村鴈治郎)によって幽閉されている。夫がある身の雪姫に横恋慕した大膳が、実は雪姫の父親の敵であったことがわかる。斬りかかった雪姫は逆襲され、桜の大木に縄で縛りつけられる。

雪姫は、大膳の命で処刑される夫・直信(上村吉弥)を何とかして助け、大膳が父の敵であることを伝えたい。
極限状態に追い詰められた時、奇跡が起きる。両手を縛られた雪姫が、足の指先で桜の花びらをかき集めてネズミを描くと、本物のネズミが現れて、縄を食いちぎり、姫を解き放つ。「
雪姫は、実在の水墨画家・雪舟の孫という設定が伏線になっている。柱に縛られた雪舟が、涙でネズミを描くと、ネズミが本物に見えたと伝わる。
小説「国宝」では、「金閣寺」が、桜や雪の舞う世界に生きる主人公を象徴する劇中劇として描かれる。映画版の大ヒットで「今こそ女形の魅力を見せる時」と使命感に燃える壱太郎。気品と

寿初春歌舞伎特別公演
〔2026年1月〕25日まで、大阪松竹座で上演中。昼の部は「車引」「金閣寺」「らくだ」。夜の部は「女鳴神」「仮名手本忠臣蔵・七段目」「京鹿子娘道成寺」。(電)0570・000・489。
(2026年1月22日付 読売新聞夕刊より)





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