
江戸・両国の川べりで、
荒川や隅田川、多摩川など東京湾へ流れ込む豊かな川に恵まれ、四季折々の魚種が育まれる関東一帯。江戸和竿は江戸中期の天明年間(1781~89年)、釣り竿店「泰地屋東作」の初代が、持ち運びに便利なように竹を短く切り、使う時に継ぎ合わせる「継ぎ竿」を普及させたのが始まりとされる。
1991年、国の伝統的工芸品に指定された江戸和竿。現在、江戸和竿組合(中台泰夫理事長)に加入する約10人の職人が、粋な遊びの文化を伝えている。
「竹は繊維が長いため、魚を無理なく自然な力で上げられることでバレ(魚が針を外して逃げてしまうこと)が少ない。手元の反応も繊細で、釣りの

和竿は布袋竹や矢竹、淡竹など種類の異なる竹の特徴を生かし、手元から穂先まで数本を継ぎ合わせる。継ぎの部分には絹糸を巻いた上、漆を塗るなどして強さと美しさを生み出す。そのため、実用品でありながら工芸的側面の高い価値を帯びる。
子どもの頃から釣り好きの吉澤さんは、デザイン会社を経営しながら、40歳を過ぎた頃、カワハギ釣りの和竿作りの名人・吉田喜三郎氏に弟子入り。平日は仕事、週末は竿作りに励む二足のわらじで15年間腕を磨き、独立した。
和竿はオーダーメイドが基本。3年以上寝かせた竹を素材に、必要な部分を切る「切り組み」や、糸巻きなど多くの工程を経て生まれる。なかでも重要なのが、「火入れ」の工程だ。竹に熱を加えて曲がりを直すだけでなく竿の強度を上げる作業で、吉澤さんは「竹に魂を入れる」と、火入れ用の窯に竹をすっと差し込み、「
組合員の高齢化は進むが、近年は若手職人3人が加わった。組合副理事長も務める吉澤さんは「力のある若手が入ってくれて心強い。和竿でしか味わえない魅力を伝えていってほしい」と期待する。(文化部 今岡竜弥)
(2026年1月28日付 読売新聞朝刊より)
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