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2025.9.30

菅原伝授手習鑑すがわらでんじゅてならいかがみ」成功祈願 ― 片岡仁左衛門さん 10年ぶりの通し上演

秀山祭九月大歌舞伎

歌舞伎三大名作の一つ「菅原伝授手習鑑すがわらでんじゅてならいかがみ」が、東京・歌舞伎座で10年ぶりに通し上演されている。開幕前には、菅丞相かんしょうじょう(菅原道真)を勤める片岡仁左衛門さんが、道真をまつる京都・北野天満宮で成功を祈願した。

京都・北野天満宮を訪れ、公演の成功を祈願した片岡仁左衛門さん

菅丞相に起きた悲劇や親子の愛などを描く物語で、今回は序幕「加茂堤かもづつみ」から六幕目「寺子屋」までを上演。仁左衛門さんは昼の部で、書の秘技を旧臣に伝える「筆法伝授ひっぽうでんじゅ」と、流罪となった菅丞相が養女の苅屋姫との別れを惜しむ「道明寺」に出演している。

父の十三代目仁左衛門の当たり役を「継ぐのは非常に難しい」と言う。「道明寺」では命を狙われる場面もあるが、「天神様(菅丞相)は全ての人を愛している。陰謀を企てられても自分の天命だと考えている」と思いを巡らせる。

広く敬われる存在を演じるだけに、公演期間中は、身を清めて舞台に臨むという。〔2025年〕8月に訪れた北野天満宮では、本殿で厳かに手を合わせた。「このお役を勤めることへの感謝の気持ちばかり。一生懸命演じたい」と語った。

「秀山祭九月大歌舞伎」は24日まで。菅丞相は仁左衛門さん、松本幸四郎さんが役替わりで勤める。(電)0570・000・489。

(2025年9月7日付 読売新聞朝刊より)

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