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2024.9.11

京都・大覚寺の歴史をたどる講座 — 慈性親王ゆかり「おなごりの門」

大覚寺の勅使門

真言宗大覚寺派大本山・大覚寺(京都市右京区)の歴史をひもとく講座が〔2024年〕7月27日、東京・大手町の読売新聞東京本社で開かれた。

来年1月から東京・上野公園の東京国立博物館で開催する特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱りょうらん 御所ゆかりの絵画―」(読売新聞社など主催)の関連講座。同寺の岡村光真・総務担当執行しぎょうが講師を務めた。

岡村光真・総務担当執行しぎょう

大覚寺は平安初期に嵯峨天皇が造営した離宮が前身で、876年に寺となった。講座では、開創に菅原道真の尽力があったことや、南北朝合一(1392年)の舞台になったと言われていることなど、幕末までの寺の歩みが紹介された。

架空の動物を船首に付けた舟で同寺の大沢池を回遊する催しは、嵯峨天皇が本格的に定着させたもので現在でも続けられているという。また、幕末に最後の宮門跡(住職)となった慈性親王が、江戸の輪王寺へ出発する際、名残惜しくて何度も振り返ったことから勅使門ちょくしもんが「おなごりの門」と呼ばれるようになったことなど、催事や伽藍がらんの由来も説明された。約70人の参加者は、岡村・総務担当執行の話に熱心に聞き入っていた。

大覚寺の境内は皇室ゆかりの建造物が並ぶ。重要文化財の「宸殿しんでん」は天皇に入内した徳川秀忠の娘・東福門院和子が、女御御殿として使用していたものとされる

講座は全5回。2回目は8月に所功・京都産業大名誉教授が講師を務めた。9月は東京国立博物館の金井裕子研究員が「大覚寺の襖絵ふすまえと狩野山楽」を中心に、特別展の見どころなどを紹介する。10月は、いけばな嵯峨御流華道総司所の辻井ミカ華務長が型を披露し、11月は大覚寺の喜和田龍光・教務担当執行による写経体験を行う。申し込みはよみうりカルチャー大手町(03・3642・4301)。

(2024年9月7日付 読売新聞朝刊より)

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