日本舞踊尾上流家元の尾上菊之丞と京都を拠点にする大蔵流狂言師の茂山逸平の「逸青会」が初開催から15周年を記念して、東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂で〔2024年8月〕18~25日、計11公演を開催する。松本幸四郎、茂山千五郎、尾上松也ら各界から計20人もの大物ゲストを招く豪華な会だ。
菊之丞は「まさか15年続くとは」と驚きを隠さないが、「新しいことにチャレンジできる『ラボ』(実験室)のような場所」と語る。
2009年、舞踊と狂言のジャンルを超えて可能性を追求しようと始まった二人会では、それぞれの古典作品のほか舞踊と狂言を掛け合わせたオリジナル作品も生み出してきた。
10周年公演からは、ゲストにもオリジナル作品に出てもらうようにした。「新作は一発で終わってしまうものも多いが、良いものは残し、自分たちだけではない作品に育てていきたい」(菊之丞)との思いからだ。
今回の新作「御札」は前後編の2本立てという新たな挑戦になる。落語「怪談牡丹燈籠 お札はがし」に着想を得て、落語作家のくまざわあかねが脚本を手がけた。前後編で演じる役を入れ替えたり、能舞台の使い方を工夫してシチュエーションを変えたりする。
公演は、〈1〉古典〈2〉ゲストが出演するオリジナル作品〈3〉新作――の3本立てで、プログラムごとにゲストが異なる。菊之丞は「トライアスロンなのか、十種競技なのか……。綱渡りのようだが、スキルを持った人が集まり、その瞬間に作り上げていくのも醍醐味の一つ」と語っていた。(電)03・3541・6344。(武田実沙子)
(2024年8月6日付 読売新聞夕刊より)
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