2024.5.10
「紡ぐプロジェクト」修理助成 作業終了、在るべき所へ
「紡ぐプロジェクト」の助成対象として修理を進めていた文化財が、2023年度の作業を終え、次々に所蔵元に戻った。随心院の「
金剛薩埵坐像 」や宝積寺の「十一面観音立像」は漆箔 の剥落 止め、西福寺の「蓮池図」は折れの修理などに多くの力を注いだ。
重要文化財「三千院円融蔵典籍文書類」は、三千院(京都市左京区)の経蔵「円融蔵」に伝わる文書類で、僧侶らの日記や歴代天皇や武将からの書状など8371点にのぼり、内容も形状も多岐にわたる。
2021年度から5か年計画で進め、23年度までに作業を終えた約150点を3月に同院に戻した。修理を担当する「松鶴堂」(京都市東山区)は、折り畳んだもの、巻物、冊子など、状態や材質を調べ、それぞれにふさわしい方法、材料で作業を進めた。
水にぬれて、くっついてしまい、開けなくなった冊子もあったが、一枚ずつ丁寧に剥がして欠損部分を補修して仕立て直した。担当した茂山慈美さんは「安全に保存し、取り扱えるようにするため、引き続き作業にあたりたい」とする。
三千院の若林節哉執事長(57)は「どのような形状で保管されていたかなども貴重な情報。これまで守り継いできた人たちの思いを受け継ぎたい」と語った。
(2024年5月5日付 読売新聞朝刊より)
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