2022年12月に国宝に指定された勝興寺本堂(富山県高岡市)で昨年〔2023年〕 11月28日、人形遣いの重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)桐竹勘十郎さんによる文楽の公演が行われた。インバウンド回復を促進する観光庁の観光再始動事業の一環で、1日限りの「国宝の共演」に、外国人を含む観客約100人が魅了された。
特設舞台で、上杉謙信の娘・八重垣姫の一途な恋心を描いた「本朝廿四孝」の「奥庭狐火の段」を上演、神の使いのキツネの霊力が乗り移った八重垣姫が、赤い衣装から白い衣装への早変わりを披露した。
八百屋の娘・お七が恋人の命を助けたい一心で、火の見櫓に登って半鐘を打ち鳴らす場面が見どころの「伊達娘恋緋鹿子」の「火の見櫓の段」では、草木染の人形の衣装も目を引いた。
(2024年1月7日付 読売新聞朝刊より)