老朽化のため建て替える国立劇場(東京都千代田区)で〔2023年10月〕29日、閉場記念式典が行われ、約1500席の大劇場を埋めたファンや関係者らが別れを惜しんだ。
同劇場は1966年に開場。日本の伝統芸能の殿堂として歌舞伎や文楽、邦楽などの公演を行ってきたほか、後継者養成の拠点としても使われてきた。
劇場を運営する日本芸術文化振興会の長谷川眞理子理事長は「新たな国立劇場では社会と伝統芸能の距離をさらに近づけるべく、様々な試みに取り組んでいく」とあいさつ。その後、人間国宝らが出演する豪華な「お名残公演」が行われ、日本舞踊、文楽、講談の後に歌舞伎俳優の片岡仁左衛門さんが「お祭り」で鳶頭を粋に演じた。最後に花道から舞台を名残惜しそうに見渡すと、深々と頭を下げていた。
建て替えは資材高騰などの影響で入札の不調が続いており、2029年度としていた再開場の時期はずれ込む見通しだ。
(2023年10月30日付 読売新聞朝刊より)
0%