開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」

主な出品作品

  • ※所蔵先の記載のない作品は大覚寺蔵。
  • ※展示期間は次の通りです。展示期間の記載のない作品は通期展示です。
    前期展示:2025年1月21日(火)~2月16日(日)
    後期展示:2025年2月18日(火)~3月16日(日)

第1章

重要文化財 五大明王像(ごだいみょうおうぞう)
明円作 平安時代・安元3年(1177)

不動明王を中心に5体の明王から成る五大明王。京都の上級貴族の仏像制作を担った円派(えんぱ)を代表する仏師・明円(みょうえん)が制作した。天皇家ゆかりの仏像で、整った顔立ちや柔らかな体つきには気品があふれ、貴族好みの洗練された美しさを表わす。

第2章

重要文化財 後宇多天皇像(ごうだてんのうぞう)
鎌倉時代・14世紀 前期展示

後宇多天皇(1267-1324, 在位1274-87)は亀山天皇の第二皇子で、大覚寺中興の祖。真言宗を篤く信仰し、大覚寺で院政を敷いたため「大覚寺殿」と称された。この肖像は出家前の姿を描いたもので、非常に細い線を何度も引き重ねて目鼻や顔の輪郭を描き、気品のある容貌を的確に表現している。

国宝 後宇多天皇宸翰(ごうだてんのうしんかん) 弘法大師伝(こうぼうだいしでん)
後宇多天皇筆 鎌倉時代・正和4年(1315) 前期展示

後宇多天皇が記した空海(774-835)の伝記。残された史料をもとに天皇自らが作り上げたもので、空海への尊崇の深さがしのばれる。謹厳な楷書から力強い草書と変化する書体がみどころ。

(部分)

国宝 後宇多天皇宸翰(ごうだてんのうしんかん) 御手印遺告(おていんゆいごう)
後宇多天皇筆 鎌倉時代・14世紀 後期展示

後宇多天皇が大覚寺の興隆を願って崩御前に記した21か条の定め。冒頭と各条のはじめに、朱で手形(御手印)を押している。本来は25か条を目指したものと思われ、各所に推敲の跡がみられる。

第3章

重要文化財 太刀(たち) (めい)(ただ)名物(めいぶつ) 薄緑(うすみどり)膝丸(ひざまる)〉)
鎌倉時代・13世紀

源満仲(みなもとのみつなか)、頼光、義経など、清和源氏に代々継承された、「薄緑」および「膝丸」の伝承をもつ太刀。源満仲は平安時代中期の武士で、藤原摂関家と強く結び付いて清和源氏発展の基礎を固めた。長大で力強い刀身に細やかに乱れた刃文を焼入れており、鎌倉時代初期の備前刀の作風が認められる。

重要文化財 太刀(たち) (めい) 安綱(やすつな)名物(めいぶつ) 鬼切丸(おにきりまる)髭切(ひげきり)〉)
平安~鎌倉時代・12~14世紀 京都・北野天満宮蔵

源満仲から頼朝に至る源氏の重宝「鬼切丸」および「髭切」の伝承をもつ太刀。鎌倉幕府滅亡に際し新田義貞が手に入れ、さらに義貞を討った斯波高経の手に渡り、その子孫の最上家が継承したと伝わる。刀身は身幅やや狭く中反りの優美な太刀姿を示し、平安時代末期から鎌倉時代の特徴を備えている。

第4章

(部分)

重要文化財 牡丹図(ぼたんず)
狩野山楽筆 江戸時代・17世紀

宸殿(しんでん)牡丹の間の東・北・西面を飾る襖絵。大ぶりな牡丹を、連続する横長の画面に配置するという独特の構図であるが、花株の位置を細かく計算して配置することで、リズミカルな展開と画面の奥行きを見事に表現している。安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した画家・狩野山楽(1559-1635)の代表作。

重要文化財 紅白梅図(こうはくばいず)
狩野山楽筆 江戸時代・17世紀

宸殿紅梅の間の南面を飾る襖絵で、満開に咲き誇る紅白梅の大樹と、水辺に佇むオシドリなどの鳥たちを描く。現在8面が残るが、もとは左右にさらに連続する画面があったと考えられる。大樹を画面全体に展開する表現を師・狩野永徳から引き継ぎつつ、さらにそれを洗練させた、山楽の最高傑作のひとつ。

(部分)

重要文化財 松鷹図(まつたかず)
狩野山楽筆 安土桃山~江戸時代・16~17世紀 前期展示

(部分)

重要文化財 野兎図(のうさぎず)
渡辺始興筆 江戸時代・18世紀

正寝殿狭屋(さや)におさまる腰障子12面に描かれたもの。渡辺始興(わたなべしこう)(1683-1755)は江戸時代中期に京都で活躍した画家で、狩野派や尾形光琳に学んだといわれる。伸びやかな野草と多様なポーズの兎たちを、配置を工夫しながら変化をもたせて描いている。