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2021.12.24

ご覧あれ! 伝統芸能展に向け文楽舞台の準備進む―人間国宝の人形遣い・桐竹勘十郎さんが自ら作業

静御前の人形を展示する桐竹勘十郎さん。真剣なまなざしが印象的だ(東京国立博物館表慶館で)

2022年1月に開幕する特別展「体感!日本の伝統芸能」に向け、会場の東京国立博物館表慶館では着々と展示作業が進められている。ユネスコ無形文化遺産に登録されている歌舞伎や能楽(能と狂言)など五つの芸能を「体感!」できるよう、役者が立つ舞台を再現して展示するコーナーもある。文楽の再現舞台は、人形遣いの桐竹勘十郎さんが自ら準備作業にあたっていた。

着物のしわまで調整を重ね…「美」を追求

伝統芸能は通常、「客席から鑑賞して楽しむ」ものだが、伝統芸能展はひと味違う。主催の日本芸術文化振興会の櫻井弘理事は「私たちが初めて舞台裏に足を踏み入れたときのわくわく感や、衣裳や人形や面などを間近に見た時のどきどき感を来場者に感じ取っていただけるような展示にしたいと考えています」と話す。大道具、小道具や衣裳など間近に見ることができ、舞台を支える技術者の技も感じることができる。

会場は、芸能ごとに展示室が分けられており、文楽のコーナーでは、ほぼ実寸で『義経千本桜』「河連法眼館の段」の舞台が再現されている。

一体の人形を3人で持つ、文楽ならではの「三人遣い」の様子は、マネキンを使って作られた。自ら展示作業にあたった人形遣いの桐竹勘十郎さんは「普段の舞台では人形を見ていただくけれど、今回の展示では、私たち人形遣いの体の動きもぜひ見ていただきたい」と話す。

なるべく実際に近い形になるよう、人形を遣うときのポーズを取って確認し、竹などで長さを調節したり、ワイヤで止めたりしていた。最後は少し離れたところから眺め、勘十郎さんが着物のしわの位置を整えると、人形がぐっと美しさを増した。

2020年は開幕できず…いよいよ本番!

伝統芸能展はもともと2020年3月に開催予定だった。今回と同じような展示作業も完了していたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、結局中止になり、見てもらうことができなかった。

「今度こそ、1人でも多くの人に見ていただきたい」と勘十郎さん。「文楽はもうすぐ誕生から300年を迎える。日本にはほかにも素晴らしい芸能がたくさんあり、まさに日本の宝。展覧会では、それぞれの芸能の新たな魅力を発見して、感じていただければ」と話していた。

いよいよ1月7日開幕! 展示の詳細やチケットは公式サイトでご確認ください

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/dentou2022/

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